キワムのコラム 第69回

第17回初島ダブルハンド参戦記

 2005年6月25日、6月の最終土曜日の朝4時半に逗子マリーナカトレア館で目覚めた。ダブルハンドレースの朝として はまあ眠れた方だ。2日前からの風邪が辛くはないが治まらないでいる。5時15分に逗子マリーナヨットクラブに顔を出 す。レース運営スタッフはもう準備がほぼ終わっている。5時半に本部船、Tiburonが出航して行く。気ばっかり早くなっ た50台のスタッフは出航の予定時刻まで待てずに出航していく。

 今年は風がない、逗子マリーナの椰子の葉はほとんど動いていない。船に5時半に行き、プロッターの電源いれようと したらダメ、ヒューズが飛んでいた。長いレースしかプロッターも使わないからね、準備いろいろしたつもりだったけど 、まだ抜けているね。回りの船にミニヒューズの予備もっているか聞いて回った、忙しい時に工具箱覗いてもらってあ りがとうございました。結局無かったので、氷結チューハイのプルトップを加工してヒューズの変わりにした。セット し終わってみると、もうみな出航していたがまだハーバーの出口にいる。沖に向かってフルスロットル、去年と違って 波も風も無し。スタート30分前にはスタート海面に着けた。

 1週間前にやっと直したオートパイロットも動くのでセットして服部と二人でメインセイルを上げる。しかし、風は 弱い、スタート4分前までエンジンは使えるので出来るだけスタートラインから離れないようにする、スタート時刻を 15分すぎると失格になってしまうからだ。ちょっと離れて風をつかめないとこの風だとスタートに遅れることも十分 あり得る。なんとかジャストスタートだと思ったのだが、リコールの心配も残る、無線からゼファーの名がリコール 艇で呼ばれたように思い、ちょっと引き替えして、もう一度スタートラインを切りなおす。結果としては、無線で聞 こえたのはゼファーではなく、「ゼータ」だった。引き替えしてもまだ殆どの船はラインを切っていない頃だったの で、気を入れて走る。ポートタックで江ノ島方面に向かうがなかなか厳しい。

 昼は南に風が変わるとの予想だが、いったいいつ吹き始めるのか。殆どの船がポートで岸に突っ込んでいる、プロ パーコースからは離れる方向。服部の提案で沖に風をつかみに行こう、他の船より早く行動しようということでタッ クする。しかしタックすると沖からくる小さな波に叩かれて船が止まる。舵もいうことを聞かない、船がバックして しまう。なんとか風に会わせて走り始める。同じタックになる船も回りで何隻が出てくる。後で聞くと、タックしあ ゼファーがあらぬ方向を向いていたのはみな見ていたようだ。その後1時間ほど何回かタックをくり返すが、沖に向 かうと艇速が半分以下になってしまう。少し風が出てきて、なんとか走れるようになるが沖に向かうレグはどうにも 走れない。9時頃からちょっと出てきた風に会わせて、ポートで走る。風の上に少しふれてプロパーコースに近づく そのまま走ることにする。風のだいぶ上がってきてオーバーヒールになる船も出てくる。我々も腰が強い船ではない ので楽ではない。

 風はだんだん上に振れ、コンパスで240度前後で走れるようになる。スピードメータのついていないゼファーはハ ンディーのGPSでスピードをチェックする。風のパワーを体に感じる位にトリムするとスピードは6ノットを切って します。今までの感覚では風抜きすぎぐらいの方が6ノット台のスピードも出る。そのくらいにしておくとウェザー ヘルムもそれほど強くないが、どうもパワー不足に感じてしまう。自分の感覚があてにならないと感じた。そんな調 整をしていてやっと先行していたクラスAの船を抜くことが出来た。でもクラスFのUFOには抜かれていく。初島が 正面に見えてきた。

 例年、島の近くを回ってひどい目にあっているので今回は大外を回ることにした、今年は風も落ちないので近くを 回ってもリスクはなさそうだったけど、我々はこれでもかというほど大外を回ったがもっと外でも良かったかなと思 うほど、初島の回りの潮は悪い。来年は初島の南側ももっと離して回ろう。今年は1時16分に初島灯台をマグネット 0度に見た。

 先行艇がスピンをなぜ上げないのかと思っていたが、初島を回ってフィニッシュにむけると風は横より少し前から 吹いている。フルメンバーならスピンを上げる所だが、二人では厳しい。ゼファーが進水した頃に作った昭和のジェ ネーカーを上げることにした。上げるとき提灯にしたりのトラブルありやって張って、スピンハリヤードを調整して いたら、ジェネーカーのクルーの付け根から一瞬にしてセイルが裂けてしまった。縁取りのリボンだけが残るセイル を回収。オートパイロットは役に立ってくれたが、お陰で仕事が出来るようになった私は、ゼイゼイ、ハアハア。な んとかジブにもどすと、初島回航で少し距離を稼げた同クラスのDanceに並ばれてしまう。彼らはスピンをあげずに 豪快に走っている。我々の力量ではここでスピンはリスクが高すぎと考え、ジブで行くことにする。重いゼファーで も波に乗ると、13ノット近くまで行く。スピンをはった他の船は14ノット以上小さな船でもスピードをつかんでい たらしい。

 風はだんだん後ろに回ってきて、ジブがはらまなくなってきた。先行するDanceも観音開きにしている。我々も 残り8マイルくらいから観音にした。この方が走りやすくもあり、スピードも落ちない。しかし、Danceとの距離 は開いていったが。ラットを持つ手もマメができそうなほど、波に会わせて右に左に舵を切らなければならない。 江ノ島が見え、ついにフィニッシュの本部船Tiburonが傾きだした太陽にハルの黄色を輝かせている。岸側からも 登ってくる船が多い、最後まで豪快に走ることが出来た。16時8分42秒、フィニッシュ。59艇中の着順24位。今 年は去年に比べればまだ余力のある状態でフィニッシュ出来た。終わってみればクラス11艇中5番目のフィニッシ ュ、修正でも5位だった。入賞の夢は来年以降に持ち越しだ。宿敵同型艇のクレイユドリューンには今年は完勝出 来た。

 来年にむけての課題は厳しい、今回、我々の今の力としては最善を尽くしたと言えないこともない、それでも まだこの成績だということは、もっと他の事に問題意識をもたなければならないということだ。

<
日時:2005年6月25日
Class A, B, C, ST 7:00
Class D, E, F, ST 7:40
逗子沖 -> 初島(アンクロ)-> 逗子沖 48マイル
くもりのち晴れ、WS 1-13m/sec, WA 230-180-210 WAVE 1.5m
順位艇名S.No形式HomePort着順Finish TimeCT
Class A
1FELLOWS5655YAMAHA28S葉山M3516:23:1723624
2Brighten6005YAMAHA25ML江ノ島4517:05:1923898
3Hobby Hawk4571YAMAHA28S葉山M4116:40:1024332
4Tomboy5390FIRST265葉山M5217:34:1325229
5Valkyrie II3554YOKOYAMA28シーボニア4617:07:47 25490
6DENKI KURAGE5566TAKAI251江ノ島5419:28:5530241
7Genesis IVカタリナ270逗子MRET
7きんぱち189H&R31小網代RET
Class B
1リップル25268J24油壺YH2916:16:3923379
2LION HEART4311YOKOYAMA30N深浦2616:09:5523459
3O&S6141Cybell325葉山M2516:08:5723517
4CORVATSCH II669U-31油壺特泊3816:32:2824318
5CONCORD5480PLATU25サニーサイド4216:45:3325225
6海援隊3839YAMAHA30S2葉山M4817:10:4025868
7MAX663VEN30小網代4917:18:5526106
8KAMAKURA II319FDV30PB小網代5017:23:2626409
9チヒロ2896J24佐島M5317:50:0727305
10FUHTA5675YAMAHA30S2葉山M5519:52:2734357
Class C
1ZETA124919T301油壺YH1315:39:1522556
2トルネードIII4507SWING31油壺YH2015:56:5023223
3ダンスオブマジック5797SWING31油壺YH2216:01:5723445
4WISH III4749SWING31夢の島M2816:16:0524056
5Zephyr2007COMET375逗子M2416:08:4224066
6FRENCH KISS5999FIRST337逗子M2316:06:2224160
7KAIJIN2418FIRST337葉山M3216:20:2224779
8Morning Star6185SWING31逗子M4417:01:0426002
9NEPTUNE XI1611TUBOI950小網代4316:57:3526389
10クレルドリューンミラベル375葉山M4717:07:5726665
11ARIELジャノー362逗子M5117:34:0027503
Class D
1SAMOA3055Farr31サニーサイド515:13:1720507
2さち風6119J/V9.6CR油壺YH715:18:5620872
3Charboi II5343YAMAHA30SN葉山M1415:39:5321336
4Gaia5406Dufor334葉山M1615:41:2321489
5RANKA5755WAGSTAFF30油壺YH1815:47:1421838
6魁V2028Seam31葉山M1915:53:1122223
7第一花丸4071HAYASHI34+1油壺YH3116:19:4323075
8BASIC3387Seam31シーボニア2716:15:4623240
9Wayray5932Seam31ヴェラシス3316:21:2123492
10ENZO 5657YAMAHA30SN油壺YH3616:28:4823510
11ALOHA MAGIC6199SYDNEY32逗子M3716:31:4123894
12Blue Ribon157Seam31CR油壺YHRET
12キャプテンサンタIV1224NAJAD391シーボニアRET
Class E
1HAURAKI6166Benフィガロ2油壺YH615:15:3021153
2Lady Lahaina6184YAMAHA33S油壺京急1115:30:1821728
3CRESCENT II4252Seam33葉山M1015:28:5821779
4Forte6115FIS367夢の島M1215:38:0221798
5ジュリアン6030FIS367逗子M1515:41:1321943
6ジュルビアン5185TUBOI1030逗子M1715:42:1722195
7ハートオブニッポン6235Seam33葉山M 2115:59:0023054
8PHOENIX162J33小網代3016:18:2523640
9SAKURA6193Seam33葉山M3416:21:3224095
10THETIS-III380U38小網代4016:36:3824631
Class F
1Foundation5871Mumm30逗子M214:49:4020572
2BLACK JACKベイクウエルH43葉山M415:04:4321293
3UFO1733ELIOT35油壺YH915:20:3221746
4ESPRIT6129SWAN56ヴェラシス114:23:5821766
5Lucky Lady V4591SAYER42熱海314:59:0422471
6Day Dream5592MELGES30逗子M815:19:2522934
7SALMON FOUR199J105小網代3916:33:5125112

2005年6月27日

もどる