キワムのコラム 第57回

VINO

 懐かしい味ってあるよね、それが青春??と重なればなおのこと

 鎌倉の大町交差点の側にあったVINO(ヴィノ)、昔オリンピック候補のアイスダンスのスケーターで のちにホリデイ・オン・アイスでプロとして踊っていた洋子さんがきりもりしていたお店。

 最初につれていってもらったのは、現在のZMYCの高橋会長だった。今から20年も前そのころは改装する前の店で 日本家屋、道路側はカウンター、奥はテーブル席、テーブルは古いミシンが台になっていた。週末とも なると鎌倉の少し怪しげな若者から中年までが店から道路にあふれ出していた。

 パスタは絶品で、ペペロンチーノ、アラビアータ、アマトリチャーナ、どれも東南アジアからし仕入れた ピリカラのトウガラシが効いて、ソースを作るのにトウガラシとニンニクとオリーブオイルで最初に炒める 時、店の中にトウガラシのエキスが充満してお客がむせるほど。それが、トマトソースと合わさって絶妙。 あぁ、口のなかに唾液が充満してきた。それにチキンサラダやホウレンソウとベーコンのサラダ。

 飲んだお酒も数知れず、無骨なグラスに大きくぶっかいた氷、ラムかテキーラベースにグレープフルーツ ジュースでちょっと割ったガツンタイプ。たまにはロンリコラムの喉の焼けるようなのも飲んだ。分厚い 木目が浮き出した黒いカウンター。高級感の無い店。洗いざらし のTシャツやショートパンツがよく似合う店。一度行ったら忘れられない店。

 何年もかよい、いろんな人間と語り合った。大切な人ともそこで出会った。そのVINOも洋子さんが体調を壊したりで閉店になった。 私の外来に通ってきてくれているのだけど、アラビアータ久しぶりに食べたいなぁといったら、今度、彼女の 家で久しぶりに作ってくれることになりそう。

2004年7月7日

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